こんにちは。毒女(doramaotaku_pro)です。
F2層(35~49歳女性)です。エンタメオタクです。元脚本家です。
美人さん
気になってる方、いますか?
私です。自分が面白い作品を他の人はどう思っているのか。自分がつまらない作品を同じくつまらないとブーブー文句垂れてる人はいないか。
共感を求めて、ネットで検索しちゃいます。
脚本家としては四流でしたが視聴者としては超一流、子どもの頃からエンタメオタクの「プロ視聴者」。「F2層」「元脚本家」の視点から、
今回は「映画「劇場」感想&ネタバレあらすじ」を記します。
※ネタバレあります!
わかち合えればうれしいです、参考になれば幸いです~(※アイキャッチ:「劇場」公式ページより)
目次
映画『劇場』感想まとめ
※ネタバレあります!
原作未読です。
映画館ではなくAmazonプライムで自宅のテレビで見ました。>>Amazonプライムビデオ
面白かったです!
感動しました!
終盤までは不快な気持ちで見ていました。
- 主人公男がクズすぎる…
- ヒロイン女が軟弱すぎる…
- 物語も既視感ありすぎる…
と思ってました。
ラストでひっくり返りました。
震えました。
泣きました。
終わったあとは、主人公男もヒロイン女も好きになりました。
嘘です。好きではないかもしれません。
でも、受容できるようになったというか、弱さや負の感情を抱えて、隠して、乗り越えて、みんな生きてるよねという気持ちになりました。
いや、なんか違いますね。
生まれた感情を言葉で表現できません。
言葉にできない感想や感情が生まれるっていいなあと思います。
これぞ純文学?!
あのラストは原作通りなのでしょうか?
それとも映画ならではのアレンジなのでしょうか?
原作これから読んでみます。
先に読まなくてよかったです。
原作モノの映像作品を見る場合、
- 映像作品を見る
- 原作を読む
の順番がいいですね。
最近やっと確信が持てました。
毒女
映画『劇場』ネタバレあらすじ&感想
- ネタバレあります!
- あくまで「あらすじ(粗筋)」です。ディテールの味わいは作品でご確認下さい
永田と沙希、出会う
永田(山﨑賢人)は浮浪者のような汚い恰好です。画廊の作品を眺めます。
沙希(松岡茉優)が来て、作品を眺めて、去っていきます。
永田は沙希を追いかけます。「明日あそぼう」と誘います。いま誘いたいけどお金がないからです。
結果、沙希のおごりで2人は喫茶店に行きます。
沙希は青森出身。中学の頃から演劇部。高校卒業後女優をめざして上京。服飾の学校に通っています。
永田は、劇団をやっています。
永田と沙希は喫茶店を出るとさよならします。連絡先は交換済です。
永田のうまくいってない現状
永田の経歴が、永田の回想で語られます。
- 高校のとき野原(寛一郎)と出会って創作意欲がはじけた
- シナリオのようなものを書くようになった
- 東京ではじめて小劇団の演劇を見て感化された
- 上京後「おろか」という劇団を旗揚げした
- 客は入らず、公演を重ねるごとに酷評の嵐
という状況です。
永田は劇団員の青山(伊藤沙莉)たちから不満をぶつけられます。他の劇団からもバカにされているとのこと。
永田は、不満をぶつけてくる劇団員にネチネチ言葉でやり返します。
永田は帰り道、劇団員から襲われてボコボコに殴られます。
永田は、自分はなぜ演劇をやっているのか、演劇でなきゃいけないのか、演劇じゃなきゃいけない、でも具体的な理由はない、と苦悩しています。
【感想】
永田の自意識過剰&承認欲求おばけっぷりが凄いです。リアルです。
リアルだと感じるのはこちらにもその経験や要素があるからでしょうか?
永田、沙希をデートに誘う
永田は沙希をデートに誘います。いい空気感です。
永田は沙希とデートしたことでいつもと違う台本が書けました。
沙希に芝居に出ててくれるよう頼みます。
沙希の芝居は上手いし魅力的でした。
沙希のおかげで公演は成功します。
その後、永田は沙希を役者として起用することは二度としませんでした。
永田、沙希の部屋に転がりこむ
公演の成功で、劇団は定期的に公演できるようになりました。
永田は、稽古日が増えたせいで日雇いのバイトに行けなくなり、貧乏になります。
沙希の部屋に転がり込みます。
永田と沙希のラブラブな様子が描かれます。
【感想】
永田がラブラブの一環で沙希の部屋で大声を出します。
永田みたいに部屋で大声を出すことで承認欲求を満たそうとする奴多いですよね!
心底近所迷惑です。が、この作品はなんでこんなこじらせ人間をリアリティたっぷりに描写できるのでしょう。
作る方も見る方もみんなこじらせてるからでしょうか。
こじらせ要素ゼロの健やかな人の感想も知りたい…
永田のこじらせと沙希(母から小包)
ある日、沙希の母親から小包が届きます。
沙希が冗談っぽく「お母さんがね、小包送っても半分は知らない男に食べられると思ったら嫌だって言ってた」と永田に伝えます。
すると永田は「俺、沙希ちゃんのお母さん嫌いだわ」とぶちキレます。沙希の母親についてネチネチと責め立てます。
永田の≪人の親から送られた食料を食べる情けない生き物。恥をまき散らして生きているのだから惨めでいいのだ。惨めを標準として笑って謝るべきだった≫というナレーションも入ります。
【感想】
ナレーション?モノローグ?が多すぎると思ってたのですが、ラストまで見て納得です。
芝居のシナリオ、未来の永田視点なのですね。
それにしても、他人の親の悪口をネチネチ言う永田はクズです(笑)
永田のこじらせと沙希(バイク)
沙希が永田を甘やかす様子が描かれます。
- ディズニーランドはライバルと大口叩く永田を応援する沙希
- 学校の課題そっちのけで永田の小道具作りを手伝う沙希
など。
一方永田は自分のことしか考えていません。
- 家賃も払わず自分の欲しいものだけ買う
- 沙希の気遣いに腹が立つ
など。
ある日、沙希が学校の同級生(男)からバイクをもらってきます。
永田は嫉妬して、バイクをぶっ壊します。
そのバイクは同級生(男)にとって大切なものでした。同級生(男)が、「夢をあきらめ田舎に帰るけどこのバイクは東京を走り回ってて欲しい」という思いを込めて沙希に託したものでした。
それを知った永田は、お詫びに自転車を買いました。
永田のこじらせと沙希(お金)
沙希は学校に行かなくなっています。昼は洋服屋で働き、夜は居酒屋でバイトをするようになりました。
永田はヒモのままです。
沙希が「今後のことを考えて光熱費だけ払ってもらえないかな」と言います。
永田は、「沙希の家だし、人の家の光熱費を払う理由がわからん」という内容を口にして逃げます。
≪油断すると生活やお金の話になるからそれを避けるために物憂げな表情を作っていた≫ということも永田のナレーションで明かされます。
劇団「まだ死んでないよ」
永田は野原と「まだ死んでないよ」という劇団の芝居を見に行きます。
いま話題の劇団です。
客席はいっぱいです。有名な評論家や演出家や俳優も見に来ています。
永田は「まだ死んでないよ」の芝居を見て、感動で泣いてしまいます。
永田は「まだ死んでないよ」の主催&演出の小峰(井口理)が同い年だと知って嫉妬します。
会場には青山(伊藤沙莉)もいました。
青山は現在ライターの仕事をしているとのこと。
後日、永田は青山の紹介でライターの仕事を始めます。
永田のこじらせと沙希(別々に暮らす)
沙希は、永田と広い部屋に引っ越したくて部屋を探し始めます。
が、永田は勝手に、沙希の部屋から出て1人暮らしをすることを決めます。沙希の存在が創作活動の邪魔だからです。
沙希は、仕事のためなら仕方ないねと受け入れて永田を送り出します。
永田は1人暮らしを満喫します。
永田は、弱ったときや酒に酔ったときなど、自分の都合のいいときだけ沙希のところに行って、沙希から安らぎを得るのでした。
【感想】
永田のクズエピソードはたくさんありますがこの部分は「夜、歩道をはみ出して車道を歩いていたこと」をあげたいです。
自意識をこじらせてもいいし世間体や常識に逆らってもいいけど、交通ルールは守ってくれ!事故が起きたら車側の責任になるんだぞ!
と思いました。
永田のこじらせと沙希(喧嘩)
ある日永田は、沙希と小峰が知り合いだと知ります。
沙希のバイト先の居酒屋の常連だそうです。
沙希のバイト先の居酒屋で「まだ死んでないよ」のメンバーが働いています。居酒屋の店長も昔劇団をやっていたそうです。
さらに青山も居酒屋の常連で、沙希のことを知っています。
青山は笑い話として永田に伝えます。居酒屋で沙希の恋バナをみんなで聞いて、沙希の彼氏はダメな奴だとみんなで話していたことをです。
永田は激怒します。沙希に「俺のことバカにしてるの?」とぶち切れます。
沙希は「バカにしてない、一番すごいってわかってるから」と必死に訴えます。
永田は許しません。沙希のアパートに行く回数を減らします。
壊れていく沙希
永田は、自分の都合のいいときだけ沙希のところを訪れています。
が、沙希の留守が増えてきました。
家にいる場合、沙希は酒を飲んで酔っ払っています。
永田のこじらせと沙希(大喧嘩)
永田が沙希の家を訪れます。
沙希はこの日も酔っ払っています。
永田は、沙希が居酒屋の店長と芝居を見に行ったことを知ります。
永田は沙希をネチネチと責め始めます。
沙希もぶち切れます。泣き叫びます。「27歳になる、地元の友達はみんな結婚した、一緒に住めるかと思ったら出ていくし、一緒に暮らしてたから許せてた部分があったけど、もう何考えてるかわからない」という内容です。
【感想】
このシーン引き込まれました!
あらすじで伝わらなくてすみません。凄いシーン。
永田のこじらせと沙希(別れたいけど別れられない)
永田は沙希からの「大切な話がある」というメールを数週間無視していました。
永田はやっと沙希のアパートを訪れます。
が、沙希がいません。
永田は沙希のバイト先の居酒屋に行きます。
「まだ死んでないよ」が飲み会をしています。
沙希は店長と一緒に帰ったとのこと。
永田と小峰のマウント合戦っぽいやりとりがあります。
永田は店長の家を聞き出します。
永田は店長の家の前に行くと、自転車のベルを鳴らしまくります。
沙希が出てきます。
永田は沙希を自転車に乗せて連れて帰ります。
沙希は無言です。
永田は1人でベラベラ喋ります。沙希に優しくします。
【感想】
相手が離れそうになったら優しくするDVモラハラ野郎の手口…
壊れていく沙希
永田と沙希は再び一緒にいるようになります。
沙希は夜眠れなくなり、酒の量が増え、泥酔していることが増えます。
永田は、野原と青山から諭されます。沙希と別れてあげるべきだと。
野原「おまえさ、自分のこと才能あるって思う?」
永田「…」
野原「じゃあさ、人から才能があるって思われてないことには気付いてる?」
永田「それはずっと知ってる」
野原「そうだよな。けど沙希ちゃんにだけはそう思われたくない。他の人に思われても平気なフリはできるけど、沙希ちゃんに思われたら壊れるんだろ、自分が。それが嫌で怖くてそれで逆に沙希ちゃん壊すわけ?何様だよな。ビビりのために沙希ちゃんの才能壊してさ。だけどおまえは自分が好きだからやめられないんだよな」
【感想】
野原、よくぞ言ってくれた!
永田、沙希から別れを告げられる
永田が家に帰ると、沙希が泥酔しています。
沙希は「もう東京ダメかもしれない」と永田に伝えます。母親が田舎に帰って休めと言ってくれたそうです。
永田は「沙希ちゃんの一番落ち着く方法でいいと思うよ」と答えます。
クライマックス
沙希はアパートの荷物をそのままにして実家に帰ってしまいました。
体調がよくなり、実家近くの会社で働くことになったようです。
後日。沙希が田舎から荷物を整理しに来ます。
永田と沙希は一緒に荷物を整理します。
昔の台本が出てきます。
永田の舞台に沙希が立ったときのものです。
永田と沙希、2人で音読します。
いまの状況と妙にマッチしている内容です。
と、永田が台本にないセリフを口にし始めます。「迷惑かけた…」と沙希への気持ちです。
沙希も永田に伝えます。上京したとき敵わないと思った、夢をあきらめるきっかけを探していた、永田のおかげで惨めな気持ちじゃなくて東京を楽しい気持ちで歩けた、永田がいなかったらもっと早く田舎に帰っていたという内容です。
永田もさらに語ります。演劇ができることってなんだろうって考えてた、演劇にできることは現実でもできる、演劇がある限り絶望することはないという内容です。
永田は夢も語ります。沙希は田舎で元気になる、自分は演劇で認められる、お金持ちになるかもしれない、そしたら美味しものをいっぱい食べよう、特急列車に乗って温泉に行こう、海外のテーマパークに行こう…
など、たくさんの夢を語ります。
すると、沙希の部屋の壁がパタンパタンと倒れていきます。
そこは、舞台でした。
永田と沙希の物語が演じられています。
沙希との出会いと別れによって成長した永田が描いた物語です。
客席には沙希がいます。
舞台の沙希がごめんねと涙します。
客席の沙希もごめんねと涙します。
永田が芝居を演じ終えます。
沙希が劇場から退室します――(終わり)
【感想】
感動!号泣!
全てをさらけ出せるようになった永田がいい顔してるんですよ。客席の沙希もバカっぽくなくて。山﨑賢人様松岡茉優様最高ーーーーーーーー
素晴らしいラストでした。拍手喝采。
映画『劇場』について
公式あらすじ
高校からの友人と立ち上げた劇団「おろか」で脚本家兼演出家を担う永田(山﨑)。
しかし、前衛的な作風は上演ごとに酷評され、客足も伸びず、劇団員も永田を見放してしまう。
解散状態の劇団という現実と、演劇に対する理想のはざまで悩む永田は、言いようのない孤独を感じていた。
そんなある日、永田は街で、自分と同じスニーカーを履いている沙希(松岡)を見かけ声をかける。
自分でも驚くほどの積極性で初めて見知らぬ人に声をかける永田。
突然の出来事に沙希は戸惑うが、様子がおかしい永田が放っておけなく一緒に喫茶店に入る。
女優になる夢を抱き上京し、服飾の学校に通っている学生・沙希と永田の恋はこうして始まった。(「劇場」公式ページより)
基本情報
- 原作:又吉直樹「劇場」
劇場(新潮文庫) - 監督:行定勲
- 脚本:蓬莱竜太
- 音楽:曽我部恵一
- 出演:山﨑賢人、松岡茉優、寛一郎、伊藤沙莉、井口理、浅香航大ほか
今回のまとめ
心に響く良作でした!ありがとうございます。感謝。
映画館でも見てみたいです~
毒女
タコ師匠
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丁寧なあらすじ、解説、感想ありがとうございます!
私(64歳フリーデザイナー)は、完全に永田に感情移入して観ていました。
ヒリヒリ、目を背けながら観てましたよ。
山﨑賢人もうまかったけど(私は大阪出身だけど山﨑賢人の標準語+大阪弁は気にならなかった)松岡茉優は、凄過ぎ(あまちゃんしか知らなかったので)!
私は、原作も読みましたが、脚本、演出がこれまた凄くて見事に映画になっていましたね。Amazonで3回観て、映画館で1回観ました。
間違いなく今年のベスト1でしょうね!
映画館でも見られたのですね!
羨ましいです、私も映画館で見たいです~(遠くて行けなくて涙)
映画館で見るとまた違った感じでしょうね。
あと男性と女性でもきっと見方が違いますよね。
原作との違いが気になるので読んでみます!
面白い当たり作品に出会えるとうれしくなっちゃいますよね
コメントありがとうございます~